息子が壁を使って逆立ちに挑戦しようとしていた。
思うようにいかない息子に、私は手本を示した。
「こうやってやるんだよ。ほらっ」
三十路前とは言え、毎日息子と公園を走り回っている私には簡単なことだ。
試しに旦那にもやらせてみよう。
そう思い、将棋部屋にこもっている旦那を呼んだ。
「逆立ちかぁ…できるかな?俺やったことないんだよね」
え?逆立ちしたことないの?運動会とかでやらなかった?
「やらなかったねぇ」と旦那は言いながら、足を壁の方向に向け四つん這いになった。
(壁)_| ̄|〇
よつんば?
私が注文したのは逆立ちのはずなのだが。
そう思いながらも彼を見守った。
すると彼は手を床についたまま、ゆっくりゆっくり足だけ壁をのぼり始めた。
(壁) ̄ ̄ ̄|〇
「…そ、それ逆立ちだと思う?」
私の質問に旦那は苦しそうに首を振った。
逆立ちは床と90度になるはずだが、彼の場合45度にも満たしていない。
逆立ちというよりはフンコロガシがフンを転がしている姿である。
最近私がショックだったことは、こんな旦那に短距離走の本気勝負で負けたことだ。
年の差、男女の差を考えても、まさかフンコロガシに負けるとは…あぁ、立ち直れない…。