住まいに関する本を漁る日々、萩原修さんにはまった。
彼が店主をしている
つくし文具店が偶然にもとなり駅にあることが分かり、胸が高鳴った。
行かない手はない。
地図で見るかぎり我が家から4、5キロといったところ。
自転車で行ける……うん、行こう。
気持ちよく空が澄み切った昨日、自転車をこいで行ってきた。
いや、きつい。
迷子になるわ、急な上り坂はあるわ、何よりくそ暑い。
着いた時には体中から汗が湧き出てきた。
店の中には紙や木で出来た個性豊かな文房具が並べられていた。
紙でできたメガネ、動物の形をしたカラフルな輪ゴム、壁に掛ける日めくりゴミ箱。
そのうちの一つに目がとまった。
皮でできたオセロ盤。
すぐに店のひとに聞いた。
「これ升目増やすことできますかね?」
特注になるためすぐには返事できず、後日連絡するとのこと。
ワクワクして同じ道のりを自転車をとばして帰った。
旦那に言ったらどんな反応をするだろう。
布盤じゃくて、プラ盤じゃなくて、皮盤だよ?!
いやっ、ここは内緒にしておいて実物が出来上がったときジャーンって見せてあげようか。
でも早く言いたくて言いたくて仕方がない。
ドキドキしながら旦那に報告した。
「ふーん」
彼の発した言葉はそれだけだった。