2013年 07月 05日 ( 1 )

エッセイ6

ファミコンでちっとも私にコントローラーを持たせてくれなかった次兄も、
大人になって競馬オタクになっていた。

次兄は結婚し、2人の子供に恵まれた。

娘を幼稚園に送った後、そのまま喫茶店に向かう。
コーヒーを飲みながら、競馬雑誌にくまなく目を通した。
赤ペンで埋め尽くされたその雑誌は、1週間と経たぬうちにボロボロになった。
家に帰っては、録画しておいた全ての競馬中継を1.3倍速でチェックした。

ある休みの日のこと。
我が家3人は、次兄の家に遊びに行った。

リビングで次兄がしばらく子供3人の相手をしていた。

そして疲れた次兄は「ちょっと競馬の検討させて」と言い残し、
自分の部屋にぱたりと閉じこもった。

今まで楽しく遊んでいたのに何で…と子供たちは驚き、不満気な様子。

その突然の裏切りとも思える行為に、うちの息子は
「……僕だって競馬見たいのにぃぃぃ!!」
と扉に向かって激しくむせび泣いた。
by inaw | 2013-07-05 10:18