おやつ

あるタイトル戦でのこと(旦那から聞いた話)。

いつものようにメニューの中から好きなおやつを注文し、わくわくしながら到着を待っていた。
すると、運ばれてきたおやつが自分のと佐藤さんのと逆に置かれた。
「いやっ、僕モンブラ…」
指摘する暇もなく、仲居さんは対局者に気を利かせ、足早に静かに部屋を去った。
対局室には自分と佐藤さんの二人だけ。
「…あの、そのモンブラン、僕のですよね?」と佐藤さんに言おうか。
それとも気づかないふりしてフルーツルージュを食べるか。
しかし盤上を読みふけっている佐藤さんが突然顔を上げ、「あ、僕のフルーツルージュ」と言ったら大変だ。
相手の動向をじっとうかがう。
佐藤さんは一心不乱に盤上を見つめている。
僕はモンブランを見つめている。
佐藤さんの手が伸びる。
「あっ…」
モンブランが口の中に運ばれるのを見届けてから、泣く泣く諦めてフルーツルージュに手を出した。

別のタイトル戦の時には、羽生さんが一生懸命将棋を考えるばかりにおやつのアイスの存在を忘れ、
旦那は羽生さんの溶けていくアイスが気になって気になって仕方がなく、「…あの、なんだったら僕がアイスを」と言いたかったらしい。

今朝、本を発送しました。
早い所では明日に届くそうです。
連休に入る前にがっつし受け取ってください。
by inaw | 2009-04-27 11:48
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